熊さとの戯言

自分の体験などを雑記帳・備忘録として

オーガ・バスターズ 第63話

第63話 鬼跋特務隊への誘い

 

大阪、南港のある波止場

 

雄次、驚いた顔で

「姉ちゃんたちも、磨修鬼を探しに」

「大阪に来てたっすか?」

賢子、笑みを浮かべ

「皐月ちゃんの為にね」

「2年前からずっと連絡がないから心配してるのよ」

 

雄次

「皐月、長い間、大変やったんすね」

皐月

「はい・・・」

 

雄次、皺を寄せて

「磨修鬼の奴、仕事とか、すべて皐月に押し付けて、出ていくっすとはね~」

皐月、キョトンとして

「は、は~?」

賢子、頭の中でずっこけ、苦笑い

「・・・・・」

気を取り直し

「雄次の方は、磨修鬼さんについて、進展はあったのかしら」

 

雄次

「今のところ、何の手懸かりも無いっすよ」

「肝心の○○組事務所まで行ったのに・・・」

 

賢子

「そうなの・・・」

「雄次でも、見つけられないのね」

雄次

「あいつ(磨修鬼)の事だから、死んでる事は無いっすけど」

「居場所さえ分かれば、別に俺としては、いいっすよ」

「なんで、連絡の1つくらい入れないっすかね」

 

皐月

「あたしは、そう言う訳にはいかないです!!!」

雄次

「え?」

 

皐月、頬を赤らめる

 

雄次

「皐月、顔が赤くなってるすよ」

「大丈夫っすか?」

賢子、ジト目

「雄次~~」

雄次、ビクッとし

「姉ちゃん、なにっすか?」

 

賢子、小さい声で

「察してあげて」

雄次、恥ずかしい皐月の様子に

「あっ!!」

「うっうん・・」

 

 

・・・・・

 

 

佐伯のバーの店内

 

色々な物が壊れ、店内も破壊の後が残る

 

過去に、鬼跋特務隊から奪った武器で

轟の首を斬り、消えかかる頭部をつかんでいる、信勝

「こんなことしたら、雄次はんから報復を喰らうで・・・」

信勝

「上等やないかい」

「いつでも、掛かってこいや」

「・・・・・」

轟の頭、胴体が崩壊してしまう

 

店内に入ってきた、富子

「逃げようとした、佐伯って鬼、殺してきたで」

信勝

「よくやった、富子」

「・・・・・」

「お前、何、ぼろい服、持ってんねん」

 

富子

「あ、これ、あの鬼が大事そうに持ってたやつやわ」

 

店内にある、壊れたカウンターの上に、ぼろい服を置く

 

信勝

「そんなぼろいの、そこら辺に捨てとけよ」

富子

「佐伯って鬼が、死際に頼まれたことやから・・・」

 

信勝

「ほんまに、律儀な事しよるで」

「そういや、ダイイングメッセージとか、入ってへんやろな」

富子

「それ調べたから、大丈夫やで」

 

信勝

「そうか」

「ほな、帰るで」

富子

「うん」

 

店から出ようとする時、ぼろい服の横に、隠れたように、ボイスレコーダーが落ちているのを、富子が見つけた

「・・・・・・」

だが、何もせず、そのまま店を出た

 

ニアミスするかのように、賢子、雄次、皐月が、店に戻ってきた

「!!!!」

 

賢子、口を被い

「いったい何があったの?」

雄次、意外と冷静に

「まさか、他の西洋の鬼に襲撃されたっすかね」

 

皐月、壊れたカウンターに置かれてあった、血糊着いたぼろい服を見つける

 

皐月、その服を胸に抱きかかえ

小刻みに震えながら

「そんな・・・」

涙を浮かべ

「ウソよ・・・」

嗚咽をもらし

「何でよ・・・」

「磨修鬼さ~~~~ん」

しゃがみこみ、大声で泣き出した

 

賢子、皐月に寄り添い

「皐月ちゃん・・・・」

 

雄次、その服がすぐに、磨修鬼の物と分かり、怒りと悲しみの余り、血が滲むほど、下唇を噛み

(磨修鬼、お前ほどの|鬼《おとこ》が、いったい誰が、何があって、殺されたっすか?)

 

ふと、足元をみると、ボイスレコーダーが落ちていた

「ん?これは・・・」

雄次、ボイスレコーダーを拾う

そのボイスレコーダーを見ると

(このボイスレコーダー、確か情報屋のおっちゃんの・・・まさか!!)

 

だが、皐月が悲しんでいる状況下では、何も言えず、ボイスレコーダーをズボンのポケットに仕舞い、黙って見守っていた

 

 

・・・・・

 

 

佐伯のバーは、バリケードが張られ

警察が駆けつけ、現場検証をしている

 

そこから、離れた公園

ベンチに座る、磨修鬼の服を抱きかかえている皐月と介抱する賢子

その側で、立っている雄次

 

賢子

「大丈夫?」

「皐月ちゃん」

皐月

「はい」

「さっきはごめんなさい」

「悲しみの余り、取り乱してしまって」

 

賢子

「良いのよ、わたしでも、そんな立場になってたら、皐月ちゃんと同じことするわよ」

皐月

「賢子先生・・・」

 

雄次、少し涙ぐみ、悲しい笑みを浮かべ

「悲しい時は悲しい、我慢せずに泣いたらいいっすよ」

「皐月のような、可愛い娘に悲しんで貰って、磨修鬼はきっと、あの世で癒されてるっすよ」

賢子

「雄次・・・」

皐月

「雄次さん・・・」

2人、雄次を見つめる

 

雄次、恥ずかしくなり、そっぽ向く

賢子、皐月、雄次のその仕草に、少し笑みを浮かべる

 

雄次、ポケットからボイスレコーダーを取り出し

「姉ちゃん、これ渡すっすよ」

賢子に渡す

「これ、どうしたの?」

 

雄次

「佐伯さん処の店に、落ちてたっすよ」

「このボイスレコーダー、情報屋のおっちゃんのだから」

「もしかしたら、磨修鬼についての情報が入ってるかもっすよ」

 

賢子

「そうだったの」

「ありがとう、雄次」

雄次

「もし、磨修鬼の事が分かったら、メールで教えてほしいっす」

 

賢子

「うん、分かったわ」

「雄次、これからどうするの?」

雄次、怒りをうちに秘め

「引き続き、磨修鬼について調べていくっすよ」

 

賢子、そんな雄次が心配になり

「まさか、無茶しないよね」

雄次

「・・・・・」

 

賢子

「裏社会のほとんど、羅導岳一派が、支配したと聞いたわ」

雄次

「え!!」

「どういう事っすか?」

 

賢子

「鬼跋特務隊に所属する捜索部隊から得た情報と、佐伯さんから頂いた情報からよ」

「磨修鬼さんの情報を得る為に、裏社会を入り込もうとするつもりなら」

「例え、貴方でも危険だわ!!」

 

雄次

「もう、情報屋のおっちゃんもいないし」

「こちらから、裏社会に乗り込まないと、情報を得られないっすよ」

「・・・・・」

「それじゃ、また後で・・・」

賢子、皐月に背を向け、離れようとする雄次

 

賢子、雄次を引き留め、ある一言を言いたかったが、自ら道を閉ざした手前、言えなかった

「・・・・・」

皐月、そんな賢子を見かねて

「雄次さん!!待って!!!」

 

雄次、皐月の方に振り向き

「どうしたっすか?皐月」

皐月

「雄次さん、賢子先生を・・・」

賢子、皐月の背中を擦り

「ありがとう、皐月ちゃん」

「私がちゃんと言うわ」

雄次に向かい

「姉ちゃんの我が儘だけど」

「雄次、鬼跋特務隊に入って、一緒に鬼哭院御前を倒して欲しいの」

 

雄次、キョトンとする

「・・・・・」

 

賢子

「|お母さん《知花鬼刕華》との諍いに巻き込みたくなく、連絡も絶っといて何だけど」

「お願い!!!」

「私に、雄次の力貸して欲しいの」

頭を深く下げる

 

皐月

「賢子先生・・・」

 

雄次

「わ~~」

「姉ちゃん、頭上げてっすよ」

 

頭を上げる、賢子

 

雄次

「俺、以前に日比野陽壱って隊員に、入隊しないか誘われたっす」

「よく考えたら、鬼跋特務隊の隊員になったら、|母ちゃん《知花鬼刕華》を倒さなきゃならないと思ったっす」

「俺、何で姉ちゃんが、母ちゃんを倒そうとするのか、分からなくなって」

「頭の中、こんがらがってるっすよ」

「それで、磨修鬼に相談しようと思って、探してたっすよ」

 

賢子

「そうだったの・・・ごめんなさい」

「そこまで、悩んでいたなんて」

「もっと深く、雄次の事考えるべきだったわ」

「・・・・・」

「よく聞いて、雄次」

「私は、お母さんを倒そうとは思ってないわ」

「むしろ、お母さんを救いたいの」

 

雄次

「救う?」

 

賢子

「そう、鬼哭院御前を、不死身の究極体にする事に固執してる、お母さんを・・・」

「鬼哭院御前さえ倒せば、お母さんも、目が覚めると思うの」

「だから、雄次も、一緒にお母さんを救って欲しいの」

 

雄次

「そうすか~」

「姉ちゃん、本気で母ちゃんを倒すのかと思ってしまったすよ」

頭を深く下げ

「ごめん!!!」

「姉ちゃんを疑ってしまって」

「俺、恥ずかしいっす」

「姉ちゃんも、俺も、母ちゃんの事、大好きだし、尊敬してるっすのに」

 

賢子、少し涙ぐみ

「雄次、頭上げてよ」

「一緒に、お母さんを救いましょう」

 

雄次

「うん、分かったっすよ」

「姉ちゃんと一緒に、鬼哭院御前を倒し、母ちゃんを救うっす」

 

賢子、にこっと笑い

「雄次、ありがとう」

 

皐月、賢子・雄次の様子を、寂しく見つめる

(あたしも、賢子先生と雄次さんの力になりたい・・・)

 

賢子、皐月に手を差し伸べ

「お母さんを救ってくれるのは、私や雄次だけではないわ」

「皐月ちゃんも一緒よ」

 

皐月、びっくりする

「賢子先生・・・」

よろこび勇んで

「あたしも、賢子先生の力になりたいです」

 

賢子

「皐月ちゃん、ありがとう」

「また、改めてよろしくね」

皐月

「はい!!」

 

雄次、賢子と皐月の様子を見て、微笑ましくなる

そして、踝を返し

「鬼跋特務隊に入る前に、1つだけやりたいことがあるっす」

「磨修鬼の事は、姉ちゃんに任せるよ」

 

賢子

「・・・・・」

「分かったわ、待ってるよ」

 

雄次、笑みを浮かべ、頭を垂れ

「じゃ~」

素早い早さで、賢子、皐月から離れていった

 

それを見守る、賢子と皐月であった

 

 

つづく・・・・・