熊さとの戯言

自分の体験などを雑記帳・備忘録として

オーガ・バスターズ 第60話

第60話 想い人

 

大阪のある雑居ビル

扉が壊されたままの佐伯の店

 

佐伯

「ホンマ、災難やな」

「今日は一体何だったんやろ」

ぶつくさ言いながら、周りを片付けていた

 

ひょんな処から

「佐伯はん、儲かってまっか~」

情報屋の鬼が訪ねてきた

 

佐伯、行き場のない怒りを

「んなもん、見りゃわかるやろ~」

情報屋の鬼にぶつけた

 

情報屋の鬼、何の事か分からず

「わ~~」

驚く・・・

 

 

・・・・・

 

 

佐伯のバーの店内

 

戸口は、応急措置として、ブルーシートを掛ける

 

カウンター席で

人口血液の酒の入ったグラスを飲みながら

情報屋の鬼

「ドアが壊されて・・・処どころ破片がバラけて」

「一体何があったんや~」

 

佐伯

「実は、知花賢子さまと会えてね~」

情報屋の鬼

「え~みんな(鬼限定)が憧れの賢子さまが、あんた処に来てたん?」

「ホンマかいな~」

 

佐伯

「情報屋の轟はんに、嘘ついてどないすんねん」

情報屋の鬼=轟

「確かにそうやな~」

「それにしても」

「佐伯はん、あんた羨ましいわ」

「そう滅多に会えんのに・・・」

 

佐伯

「まぁ、偶然やけどね」

轟、嫌みたらしく拗ね

「だろうな・・・」

佐伯、優越感に浸り、にやけて

「いいやろ~」

そして、真剣な面持ちになり

「賢子さまと会った後の話しやけどな・・・」

 

佐伯、轟に事の顛末を伝えた

 

轟、驚き

「賢子さまが、“慈悲の喧嘩屋”の磨修鬼はんを探していて」

「なんか、ごつい西洋の鬼が、賢子さまを拐おうとした」

「すげ~ハードな顛末やな」

 

佐伯

「賢子さまに会えて、天に昇る気分が」

「西洋の鬼に、店壊されて、一気に地獄やで」

 

「こりゃ、かなわんなぁ~」

「そういや、賢子さまの弟の雄次はんも、ここ大阪に来て」

祇園磨修鬼はんを探してたな」

佐伯

「あの”人喰い”の雄次はんもかいな」

姉弟で一緒に探してたんかな」

 

「いや、雄次はん、賢子さまとは連絡がつかないっと言ってたから」

「別々で、磨修鬼はんを探してるんやない」

「実は、ワシ、雄次はんに、祇園磨修鬼の消息を調べてくれって、依頼されてな」

 

佐伯、急に黙り込んだ

「・・・・」

「佐伯はん、どうしたんや?」

 

佐伯、戸惑いながら

「それを、賢子さまに言おうとしたんやけど、西洋の鬼に邪魔されてな・・・」

 

轟、これは祇園磨修鬼の事だと確信

ズボンのポケットに入っている

小型ボイスレコーダーを、RECオンして

「前置きは良いから」

祇園磨修鬼について教えてくれへんか?」

佐伯の告白を促した

 

佐伯、体を震えながら

「見てしまったんや」

「磨修鬼さんが殺されてしまった処を」

 

「何だって~~」

「磨修鬼はんが殺されたって~」

「実力では、あの天鬼壱傑の蘆屋道鬼の次くらいって聞いてるで・・・」

 

佐伯

「俺だって、信じたくないわ」

「仕方ないやろ」

「現実に見てしまったんやから」

 

「じゃ~、誰が磨修鬼さんを殺したんや?」

 

佐伯

「そいつは、羅導岳の後輩って言われてる」

「ギガント|間庭《まにわ》って鬼と」

「羅導岳の四天王て言われてる、格闘家の鬼たちや」

 

 

「~~何だって」

「5人掛かりで磨修鬼はんを殺したってんだ」

 

佐伯

「そやねん、それでも磨修鬼はん、粘ったんやけど、多勢に無勢」

「最後は卑怯な手を使って、殺したんやで」

 

「何やねん!!それ」

「いったい、どないして殺られたんや」

 

佐伯

「それは・・・」

 

 

 

回想開始

 

2年前

佐伯のバー

 

この時の客は

ハードボイルドな雰囲気の祇園磨修鬼ただ1人

カウンター席で

人口血液のカクテルを嗜む

 

磨修鬼

「佐伯さんの作るカクテル」

「本当に旨いな!!」

佐伯

「へい、いつも誉めてくださって」

「ありがとうございやす」

 

磨修鬼、煙草を咥えて

「商売は、旨いこと行ってるかい?」

佐伯

「お陰さまで、人も鬼もよく来てくださってます」

 

磨修鬼

「それは、良かったよ」

佐伯

「そりゃ~、磨修鬼はんと、雄次はんのお陰でっせ」

 

磨修鬼

「ほとんどは、雄次兄さんのお陰だよ」

「素性は、あんなんだけど」

「あの|鬼《ひと》、人の裏社会の下っ端から始まって」

「一時トップまで行った、言わば”叩き上げ”だな」

 

佐伯

「雄次はん、何で折角トップになったのに」

「今は、人食抑制薬と人肉代用食品の配達員をやってるんです?」

 

磨修鬼

「俺も、それが疑問で、雄次兄さんに聞いたら」

「自分の下の幹部たちの権力争いを見るのが嫌で」

「アホらしくなって、さっさと人に譲って引退したらしい」

苦笑いしながら

「雄次兄さんを、任侠界のトップにしようと、俺も頑張ったのだけどね」

 

佐伯、

「あらま・・・」

 

磨修鬼、笑いながら、ため息ついて

「まあ~、雄次兄さんらしいと言えば、そうだわ」

 

佐伯

「確かにそうですわ」

 

2人で、笑いあっていた

 

やがて、

磨修鬼、腕時計を見てカウンターの席から立ち上がり

コートを羽織り、出かける用意をする

 

佐伯

「磨修鬼はん」

「今からどちらへ?」

磨修鬼

「今から、○○組に行って、“手打ち”しにいかないとな」

 

佐伯

「○○組って、これまた大きな組織」

「何で、フリーでしかも鬼である、磨修鬼はんが介入しはるんです?」

 

磨修鬼

「○○組の要請でな」

「人同士の闘争なら、ほっとけば良いが」

「その闘争相手が、”鬼”の為に介入せざるを得ないのよ」

 

佐伯

「鬼ですって~」

「なんで余計なことするんや」

「その鬼って誰なんやろ」

 

磨修鬼

「今回ばかりは、一筋縄ではいかないな」

「何せ、相手は、天鬼弐傑・羅導岳だからな」

 

佐伯

「え~~~~~」

「天地六傑鬼の中で、大きな派閥で、しかも武闘派の鬼~~」

 

磨修鬼

「あの方には、”入れ替りの決戦”の許可はもらっている」

 

佐伯

「入れ替りの決戦って・・・」

 

磨修鬼、くわえ煙草をし

「下位の鬼が上位の鬼に逆らえる、唯一の方法だからな」

「何も起こらないことを願うだけだ」

軽く手を挙げ

「じゃ~、行ってくるわ」

 

磨修鬼、佐伯のバーから出ていった

 

そして、佐伯も気になり、店を閉め

磨修鬼の後を付いて行った

 

 

・・・・・

 

 

人の賑わう、繁華街の橋の上で

磨修鬼は、5人の格闘家の鬼に絡まれる

 

佐伯、遠くから、その様子見る

「あれは確か・・・」

 

1人は、身体は細いが、あの羅導岳より

背が高い鬼

 

3人は、それぞれ180cmから190cm位の背丈のある鬼たち

1人は、170cm位の女の鬼がいた

 

それぞれ5人が、いかにも格闘家って感じの服装姿であった

 

周りの人達も、何時のまにか、居なくなった

 

背の高い男

「貴方が、祇園磨修鬼さんですか」

磨修鬼

「それがどうした?」

 

背の高い男が、磨修鬼に頭を下げ

「私の名は、羅導岳の後輩の、ギガント間庭と言います」

「羅導岳先輩から、貴方を御迎えに参れと言われ参上致しました」

 

磨修鬼、周りが殺気立ってる事が気になり

「おいおい、羅導岳さん処は、殺気立ちながら御迎えにくるのか?」

 

背の高い男=ギガント間庭

「これは、申し訳ありません」

「強い方を見ると、つい殺気立ってしまうのですよ」

「悪気がないのですよ、私たち格闘家なので、どうしてもね」

 

残りの2人の男はニタニタと笑い

1人の男性、1人の女性は、黙り込んでいた

 

磨修鬼、呆れかえって

(よう、言うわ)

と思いながら

「御迎えご苦労さん」

「俺は1人で行けるんで」

ギガント間庭の横を通り過ぎようとした時

 

磨修鬼の肩を掴まれ、振り向くと

「折角の御迎えを無碍にすんなや」

1人の鬼が突っ掛かってきた

磨修鬼、その鬼を睨み

「その手、離してくれんか?」

「もう、時間が無いんだがな」

冷静に対応

 

「何だと~」

磨修鬼を殴ろうとする

瞬時にカウンターを食らい、吹っ飛ばされ

橋の壁にぶつかる鬼

 

カウンターを食らい、橋の壁に座り込んでいる鬼に駆け寄る、女の鬼

「大丈夫なん?信勝」

 

女の鬼を払いのけ

「要らんことせんでえ~、富子」

立ち上がる、鬼=信勝

 

2人の格闘家の鬼

「おいおい、|鏑木《かぶらぎ》、見せつけんじゃねーよ」

「彼女と一緒でなきゃ、何も出来んのやな」

 

2人を睨みつける、信勝

「うるせ~なあ~」

富子にも

「お前も、俺らと一緒で、羅導岳・四天王の1人や」

「しゃきっと、せ~よ~」

 

富子

「・・・・・」

顔を逸らし、黙り込む

 

磨修鬼、5人組のちょっとした内輪もめに、ため息をつき

(もう、相手にしてやれん・・・)

猛スピードで、建物など障害物に飛び移りながら、5人組から離れて行った

 

5人組、一瞬呆気に取られたが

ギガント間庭

「早く、祇園磨修鬼を捕まえろ」

2人の男の鬼たちも、猛スピードで磨修鬼を追いかけた

 

まだ、ぼんやりしている信勝、富子に

「お前らも、さっさと追わんか~」

ギガント間庭、発破をかける

 

その声に、我を取り戻した2人

「はっはい!!」

猛スピードで後を追う

 

最後は、ギガント間庭

「絶対に、祇園磨修鬼を殺してやる」

と一言を残して

猛スピードで追いかける

 

6人の非人間的な動きに、ただ唖然と見守る大衆

 

佐伯も、ますます気になりだし

「磨修鬼はん、どないなるんやろ」

と、他の6人とは、スピードは落ちるが

磨修鬼たちの後を追った

 

 

・・・・・

 

 

建物に飛び移りながら、4人の鬼と戦い、現場に向かう磨修鬼

 

磨修鬼の行手を阻もうと、まるで蜂の様に、4人の鬼は交代しながら

それぞれの武闘スタイルで戦って行く

 

磨修鬼、4人の波状攻撃をかわしたり、受け止めたり、隙を作る為に

血鬼術「ナイフ」を使うが、あっちも血気術を使い、なかなか上手くいかない

 

磨修鬼、業を煮やし

「これ程までとは!!」

「これでは、埒があかん」

手頃な戦闘場所を探していた

 

ちょうど、大きなグランドがあった為

そこに、降りたつ

 

5人組も、一緒に降りたち、磨修鬼を囲い込む

 

ギガント間庭 

「もう、観念したか」

「ここが、祇園磨修鬼」

「あんたの死に場所だ!!!」

「覚悟しろや」

5人組、臨戦態勢を取る

 

磨修鬼

「やはりな」

「最初から、俺を亡き者にしようとしてたんだな」

 

その後、佐伯も、磨修鬼たちから離れて

降りたち、グランドに生えている、草影に隠れて、様子を伺う

「いったい、何が起こるんや・・・」

 

 

続く・・・・・