熊さとの戯言

自分の体験などを雑記帳・備忘録として

オーガ・バスターズ 第59話

第59話 行きつく先

 

大阪、南港のある波止場

 

ドゴーリの血鬼術「大地」コの字型岩の壁の中に、賢子と皐月

その出入口に立っている雄次と対峙しているドゴーリ

 

 雄次、賢子たちの方に振り向き

「姉ちゃん、大丈夫っすか」

「あれ、皐月も一緒だったすね」

にこっと笑い

「どちらにしろ」

「姉ちゃんも、皐月も無事で良かったよ~」

 

賢子、呆けてながら

「ゆっ雄次なの?」

皐月、ほっと腕を撫で下ろし

「雄次さん、来てくれたのね」

(ペロは既に、皐月の体内に戻っている)

 

雄次、再びドゴーリに向け

腕を組みながら

「図体でかい癖に、姉ちゃんたちを」

「虐めて何が楽しいっすか?」

説教をする

 

ドゴーリ、タジタジしながら

「ぼっ僕、全然虐めてないよ~」

 

雄次、怒った風に

「今さっき、手を出そうとしてたっすよ」

ドゴール、おどおどしながら

「叩こうとしてないよ~」

「捕まえようとしただけだよ~」

 

雄次、得意気に

「捕まえるって・・・」

「そんなことしたら、女の子嫌がるっすよ」

ドゴーリにマウントを取っていた

ドゴーリ、ショックをうけ

「そんな~、そんな事したら駄目だったんだ~」

 

雄次、にこっと笑みを浮かべ

「もっと優しく、接してあげないといけないっすよ」

ドゴーリ、嬉しそうに

「うんうん」

真面目に、雄次の説教を聞いていた

 

2人の問答を聞いている、賢子と皐月

呆然としながら

 

皐月、複雑な心境で

「何か、雄次さん説教してるみたいだし」

「大きな鬼も、真面目に聞いてるわ」

「今まで、私たちって・・・」

賢子、苦笑いしながら

「皐月ちゃん、言いたい事分かるわ」

「あの子(雄次)、場を和ます雰囲気にする処があるの」

 

 

・・・・・

 

 夜

 

ある西欧の国の中世の城

 

王の謁見の間

 

4人の鉄の鎧を着たデーモンは、それぞれ壁際の方へ倒れたまま動かず

 

玉座の橫にいた、ジャクリームは、へたりこんで、恐怖の余り身体が震え

 

周りは、鬼刕華、サタンのお互いの衝撃波によって

壊された装飾品、壁、床、窓などが破壊され、破片も散りばめていた

そして、玉座も破壊され、その後ろ壁は大きな穴が開いていた

 

城の外に広がる草原にも、戦いの傷跡が拡がり、その戦場には

 スーツが破れ、肌が見えているが、

直立不動で立つ、ほぼ無傷の知花鬼刕華

 

対峙するサタンは、全身ボロボロに切り裂かれ、膝を付き

大きな剣を杖代わりもちながら、息切れしている

 

サタン、悔しいながらも

「なるほど、これが、貴様が我が名を知る理由か」

「まだまだ、貴様に勝て無かったか」

「本来の姿とは、全然違うから、分からなかったぞ」

納得していた

 

鬼刕華、一息入れ

「で、そなたの眷属らは、日本から引き上げてくれるのか?」

サタン

「いいだろう、350年前からの紳士同盟だ・・・」

 

城に中にいる、ジャクリームに

「今すぐに、カミーユ、セバスチョン、ドゴールをここに移動させよ」

テレパシーを使い、命令した

 

へたり込んでいた、ジャクリーム、慌てて立ち上がり

「はっはい~」

振るえながらも、杖を上げる

 

あべのハルカスの頂上で戦っている、道鬼とカミーユ

「なんなのよ!!」

「このくそ陰陽師~~」

 

突然、カミーユの後ろに異空間の穴が空き

「!!!」

一瞬で吸い込まれ、直ぐに穴が塞がれた

 

道鬼、カミーユが突然の消えた為、その状況について行けず

呆然と立ちすくんでいた

「・・・・・」

 

京セラドームの頂上

 

人型に戻り、鉄のロープをほどき、今から、雄次を追いかける、セバスチョン

「あの野郎、絶対に殺してやる~~」

 

セバスチョンの後ろに、異空間の穴が空き

「へっ?」

振り向いた途端、吸い込まれ、直ぐに穴が塞がれた

 

いつもの静寂な空気に戻った、京セラドーム周辺

 

 

南港のある波止場

 

雄次とドゴーリが、お互いに向かい合いながら座り、談話していた

 

雄次

「君処の、マスターって人」

「結構、人使い荒いっすね~」

ドゴーリ

「ほんとは、僕もこんなことしたくなかったよ~」

「マスターの言うことは、絶対だからね」

 

雄次

「ドゴーリくん、眷属の立場って本当に辛いっすね」

「俺も、一時にマスターみたいな奴の下で働いてたから、解るっすよ」

ドゴーリ

「ありがとう~」

「ここまで、僕の事、同情してくれるの」

「雄次くんが初めてだよ~」

涙ぐんでいた

雄次も、つられて涙ぐみ

「ドゴーリくんの心情、察するすよ」

 

2人の談話を見つめている、賢子と皐月

 

皐月

「雄次さんの、この様子みてたら」

「何故、磨修鬼さんが、雄次さんを兄貴分として、慕っていたのが良く解ります」

賢子

「雄次も、磨修鬼さんの事、自分を全て晒す事ができる」

「他人では唯一の人だと言ってたわ」

「皐月ちゃん」

「1日でも早く、磨修鬼さんを見つけましょう」

皐月

「はい、賢子先生」

「私も早く磨修鬼さんに会いたいです」

 

やがて、ドゴーリの後ろに、異空間の穴が空き

「????」

雄次が何か言葉を発する前に

ドゴーリは吸い込まれてしまった、異空間の穴が直ぐに閉まった

 

静寂な波止場には、賢子、雄次、皐月が呆然と立ちすくんでいた

 

・・・・・

 

小高い丘の城が見える草原

 

すっかり傷も治り、鬼刕華と対峙するサタン

「知花鬼刕華」

「この通り、3人の眷属を我が元へ連れ戻したぞ」

「これで、納得しただろう」

 

サタンの前には

突然、連れ戻され、呆然としている

カミーユ、セバスチョン、ドゴーリ

 

鬼刕華

「それで良い」

「賢子を拐らう理由は、大方見当は付く」

「不死身の究極体の研究を、自らの側でやらせるつもりだったのだろう」

 

サタン、苦笑い

「あ~そうだ」

「厚遇な待遇で、もてなすつもりだったがな」

 

鬼刕華、ため息をつき

「どんなに待遇を良くしても、無駄だ」

「そんなことをすれば、私の娘は、自決を選ぶだろう」

そして、サタンを睨み

「そうなった時は・・・・」

 

サタン、顔をこわばせ

「・・・・分かっている」

「我を滅するのだろう」

 

鬼刕華

「分かっていれば、それで良い」

「それでは、帰らせて貰うぞ」

道鬼から貰った、異空間の札を空中にかざすと

目の前に、異空間の穴が開いた

そして、鬼刕華が穴に足を入れた時

後ろから

サタン

「まて、知花鬼刕華!!!」

「いや、鬼城(キジョウ)、貴様に聞きたいことがある」

 

鬼刕華、サタンの方に向き

「なんだ、サタン」

「聞きたい事とは?」

 

サタン

「我と貴様とは、年齢はそれほで変わらない・・・」

「なぜ、我を飛び越えて戦闘力が高いのだ?」

「ほぼ、無敵といって過言ではないぞ」

「その強さの秘訣は何なのだ、教えてくれ」

 

鬼刕華、顔を上げ、悲しそうに

「そなたは羨ましいぞ」

「そういう目標をもって生きていける事が・・・」

 

サタン、怪訝そうに

「目標をもって生きてる事が羨ましいだと、何を言ってるのだ」

「むしろ、貴様のような、無敵のオーガ、いや、生物になってるのが」

「羨ましく思うぞ!!!」

 

鬼刕華、悲しい笑みを浮かべ

「私は別に、無敵になりたくて強くなった訳ではない」

「ただ、人の役に立つために強くなっただけだ」

「主君のため、民のため、そして一族のためにな・・・」

「それによって、死すことに何の後悔もない」

「それだけだ、これで、参考になったか?」

 

サタン

「それくらいなら、我も一緒だ!!!」

「何故、貴様との戦闘力の差が大きいのだ」

 

鬼刕華

「そうか、あまり参考には、ならなかったか」

「・・・・・」

「そなたも充分に強いぞ」

「今の日本の鬼の始祖、|鬼哭院御前《きこくいん・ごぜん》や」

「かつて日本に居た、|鬼舞辻無惨《きぶつじ・むざん》」

中央アジアアメリカ大陸にいる、鬼の始祖よりも、はるかにな」

 

サタン

「鬼城、なんの慰めの言葉にもなって無いぞ」

「やはり、貴様を滅しなければ、我の強さの証明にはならない」

「必ず、貴様を倒し、無敵の生物になってみせるぞ」

 

鬼刕華

「ハハハ・・・」

「やはり、羨ましいぞ、サタン」

「いつでも相手になってやる」

「私に勝った時の勝利の美酒は」

「さぞかし美味だろうな・・・そなたにとってな」

 

サタン

「そうさせてもらう!!」

 

鬼刕華

「今度こそ、帰らせてもらうぞ」

「さらばだ、サタンいや、ジル・ド・レイ

異空間の穴に入る、鬼刕華

 

サタン

「貴様、やはり我の人間時代の名前を知っていたか・・・」

 

鬼刕華、微笑を返し

「サタン、一言だけ言っていいか?」

 

サタン

「何だ、鬼城」

 

鬼刕華、悲しみの笑みを浮かべ

「私の場合、行きつく先は、勝利の美酒でもなんでもなく」

「ただ、巨大な虚無感が広がっただげだ・・・」

 

その一言を残し、異空間の中へと入り、異空間の穴も塞がれた

 

鬼刕華の一言の言葉に、まだ理解できず

サタン、只々立ちすくんでいた

 

 

つづく・・・・・