熊さとの戯言

自分の体験などを雑記帳・備忘録として

オーガ・バスターズ 第56話

第56話 眷属

 

雄次の勤め先の宿に、バックパッカーとして、宿泊している、セバスチョン

この建物全体に、甘い香りが漂い、他の宿泊している人たちが深い眠りに付いている

「眠り草の香水を持ってきて良かったぜ」

「さて、先にあの男の部屋から行くとするか・・・」

事前に、匂いで特定した雄次の部屋に行き、ドアをぶち破いて入っていく

大きな物音がしても、眠り草の効果のため、誰も目が覚めることはなかった

案の定

雄次、布団に被り、ぐっすりと寝ていた

「ぐ~ぐ・・・むにゃむにゃ~」

 

セバスチョン(狼の頭)、不敵な笑みを浮かべ

「よ~眠っておるわ」

「腹を串刺したら、人かオーガか分かるだろう・・・」

 

右手の手刀で、雄次の腹を刺そうとした時、突然鉄の刃が出現、セバスチョンの右腕を切断

「なっ!!!」

 

Tシャツとズボン、そしてついでに靴を履いた雄次、むくっと上体を起こし

「やっぱり、お前は鬼だったすね~」

「獣の被りものしてるっすね~」

「ここの界隈で、人を攫ってるって、お前だったすね」

 

右腕が生えた、セバスチョン驚いた表情で

「貴様、俺の事気づいてたのか~」

雄次、呆れて

「あれだけの鬼の匂いを出してたら、誰だって気づくっすよ」

セバスチョン

「眠り草の香水も効かなかったのか・・・・」

雄次、頭をかきながら

「この甘い香り、眠り薬やったすか~」

「それ、お前が吹きかけたっすか」

「てっきり、じいちゃんかばあちゃんが、やってたと思ったっす」

セバスチョン、驚愕

(結構、キツイ睡眠の香水だぞ・・・)

 

その途端、雄次がセバスチョンの首を掴み、窓を破り、部屋の外へ連れ出した

「部屋の中で、対戦はできないっすよ」

地上に降り立つと同時に、セバスチョンの腹に、雄次の中蹴りを入れる

セバスチョン、飛ばされ、電車の高架下の柱にぶつかり、しゃがみ込む

「くっくそ~」

セバスチョンの前に、雄次が立ちはばかり

「お前のせいで、人探しできないっす」

「何者か知らないが、人攫いしてる以上見逃せなっす」

「倒すしかないっすね」

セバスチョン、不敵な笑みを浮かび

「貴様が、この俺を倒すだと、冗談もほどほどにしろよ」

「俺の名は、セバスチョン・ロペスだ」

「欧米を裏で支配する真祖・我がマスターの最上眷属だ」

 

雄次、怪訝そうに

「ざます・ロペロペ?」

天然をかます

 

セバスチョン、目を吊り上げ怒り

「セバスチョン・ロペスだ!!!」

「我が名を侮辱するな!!!」

 

雄次、そんなセバスチョンを気も留めず

「ここで、戦う訳にはいかないっす」

「付いてこい来い!!」

凄いスピードで海側の方へ向かう

「貴様!!逃げる気か!!!」

雄次に付いていく、セバスチョン

 

高速に下の道をたどり、橋を渡り、ショッピングモールを越えると

やがて、“京セラドーム”の頂上に着く

雄次

「ここだと、広いし戦い易いっす」

「ここでお前を倒すっす」

体術の構えをし、臨戦態勢をとる

セバスチョン

「この俺を舐めるなよ!!!」

爪を伸ばし、もうスピードで、雄次に立ち向かう

雄次、攻撃して来た腕を払いのけ、同時にセバスチョンの腹目掛け

正拳突きを与える

セバスチョン、雄次の間合いから、かなり飛ばされるが

四つん這いになりながらも、踏ん張る

腹を抑えながら

「き、貴様~」

雄次、再び体術の構えをし、にたっとしながら

「あんな単純な攻撃、誰でも返せるっす」

「お前の方が、俺をなめとったすよ」

セバスチョン、憤怒ごとく怒り

「おのれ~」

 

 

・・・・・

 

 

あべのハルカス近辺・上空

 

朱雀の式神に乗り、周りを見渡す、蘆屋道鬼

「あの方や鬼刕華様の鬼でない者どもが、この地に降り立ったはずだが・・・・」

「あれら、この大阪周辺に結界を張ってることを認識してるのだろうか・・・」

 

「ほほほほ・・・・・」

「やはり、結界を張ってたのね」

道鬼、声の方向へ向くと、

 

無数の蝙蝠が飛んでいた、やがて一塊になり、魔女の格好をした

長身の女性の姿に変化し、大きな蝙蝠に乗っている

「貴方は、鬼哭院御前か知花鬼刕華の“オーガ”かしら?」

「私は、欧州にいらっしゃる我がマスターの“デーモン”」

カミーユ・デュポンよ」

 

陰陽師姿の道鬼を見て、急にはしゃぎだした

 

「わお~、この姿は、“陰陽師”ってやつ、私の国では、日本文化が流行ってるのよね~」

「なかなか、イカスわ~」

 

カミーユスマホを取り出し、陰陽師姿の道鬼を写メしだした

 

道鬼、困惑し

(こ奴は戦いに来たのか?観光にきたのか?)

気を取り直し

「その“デーモン”のカミーユとやら、お主は、まるで“ハロウィン”とやらの服装を着ているが」

「まだ、そんな季節ではないと思うぞ」

カミーユ、道鬼を睨み返し

「えっ、それどういう意味?」

「わたしの衣装が気に食わないの、この日本でも流行ってるでしょ」

 

道鬼、通常な面持ちで

「別に、深い意味はない」

「日本にきて、“コスプレ”にでも来たのかと」

カミーユ、ムッと

「これは、れっきとした戦闘衣装よ」

「貴方、何かと棘のある言い方だね~」

そして、笑みを浮かべ

「それより陰陽師さん、知花賢子って女のオーガ、知らないかしら?」

 

道鬼、「知花賢子」と言う、キーワードを聞き、一瞬動揺するが

元々、顔の表情の乏しいためか、カミーユに気づかれない

「そのまえに、その“知花賢子”っていう鬼は何者なんだ?」

質問返しして、カミーユの様子を伺った

 

カミーユ、笑みを浮かべ

「何、とぼけてるの、陰陽師さん」

「何か、私から情報を得ようとしてるのかしら?」

 

道鬼、残念そうに

「馬鹿そうなデーモンと思ったが」

「バカではなかったみたいだな」

 

カミーユ、少し怒りを表し

「貴方、本当にとげのある発言するわね」

不敵な笑みを浮かべ

「もういいわ、貴方を痛めつけて尋問するわ」

大量の蝙蝠を、カミーユの周りを飛び交い

いつでも攻撃できる態勢を整える

道鬼

「やってみるがいい」

六芒星紋章を道鬼の前面に浮き出し、臨戦態勢をとる

 

 

・・・・・

 

 

大阪の繁華街で、お出かけに着る服装で、ある鬼を探索している

知花賢子と鯖江皐月

 

皐月

「ごめんなさい、賢子先生」

「あたしのために・・・・」

賢子

「いいのよ、わたしも“探さなきゃ”と思ってたし」

「一緒に見つけましょう」

祇園磨修鬼さんを」

皐月、嬉しそうに

「はい!!!」

 

皐月、心配そうに

「でも、大丈夫でしょか?」

「煉獄副指令官に組織の運営を任せて・・・・」

賢子、微笑み

「大丈夫よ」

「煉獄副司令官に組織運営を任せたら、鬼跋特務隊の動きが良くなったわよ」

「やっぱり、再入隊させてよかったわ」

「そのお陰で、わたしも、このように自由に動けるようになったし」

急に、ちょっと困った表情で

「でも・・・」

皐月、はてっと思い

「でも?」

賢子、少し苦笑いし

「秘書さん、煉獄副司令官の下に就いてから」

「大変みたいよ~~」

皐月、少し笑ってしまい

「そういえば~~」

 

ここの界隈に住んでいる、数少ない鬼から情報を得ようと、オーガ・チェイサを使って

探索をする

(同じ鬼でも、人食含む事件を起こさない限り、鬼討伐の対象にならない事になっている)

 

賢子、皐月がある雑居ビルを通りかかった時、そのビルから

「もしもし・・・・」

「貴女は、知花賢子さまでは」

賢子、皐月が、そのビルの方へ振り向くと、バーテンダーの恰好をした

中年の男性(鬼)が立っていた

 

賢子、皐月

バーテンダーの鬼に駆け寄り

「たしか、貴方は“佐伯”さんですか」

バーテンダーの鬼=佐伯、感動し

「賢子さまのような、上位の鬼に」

「わたしみたいな、雑魚な鬼の名前を憶えてくれてたなんて」

「感激でございます」

涙を流し始めた

 

賢子、恐縮し

「わたしはそんなに、偉い鬼でもないし」

「悩みの相談を聞いても、何も出来なかったよ」

「今はあの人たちの味方じゃないよ」

宥めた

佐伯、申し訳なさそうに

「いえいえ、お話を聞いて下さっただけで、どれだけ助かりましたか・・・」

 

(代用食品が出回るまでは、鬼の世界は、ほぼ弱肉強食で、鬼同士孤立状態だった

また、鬼跋特務隊の存在もあり、息を潜めて暮らしていた)

(そんな鬼たちのカウンセリングを知花賢子は行っていた、

一説には、鬼舞辻無惨の鬼のカウンセリングもしてた噂もある)

(知花賢子が鬼跋特務隊を再建してからは、人食い及び犯罪を犯さなければ、討伐される心配がないため、善良な鬼は、夜しか活動出来ないが、人並みの生活が出来るようになった)

 

佐伯、周囲を見渡したあと

「少し、耳に入れて欲しいことがありますが」

「よろしいでしょうか?」

 

賢子

「耳に入れたい事って・・・・」

佐伯

「どうか、わたしの店で、お話しましょう」

 

雑居ビルの1階にある、佐伯のバーに案内される、賢子と皐月

 

佐伯のバーの店内

 

カウンター席に座る賢子と皐月

カウンター越しに立つ佐伯

 

普通の飲み物は飲めない為、代用飲料を入れたグラスが差し出された

 

賢子

「耳に入れて欲しい事って事とは・・・」

佐伯

「天鬼弐傑の羅導岳をご存じですか?」

賢子

「はい、知っています」

「御前の鬼の中で、一番の派閥をもつ巨体の鬼ですね」

佐伯

「その鬼が、5人の格闘家の鬼と多数の私たちの様な鬼たちを従い」

「全国の、人の裏社会の組織を次々乗っ取り、勢力を拡大しています」

「ここ、大阪でも例外ではありません・・・・」

賢子

「えっ、鬼跋特務隊でも、“羅導岳”の動向を調べてますが」

「そこまで、侵食してたのですね」

佐伯

「そのせいで・・・・」

賢子

「どうしたのですか」

佐伯、涙ぐみ

「裏社会では、鬼と人は“持ちつ持たれつ”の関係が続いてたのに」

「羅導岳らのせいで・・・」

「わたしら、無関係な鬼にまで、裏社会の人間たちの敵にされ」

「懇意にしてる、近所のスナックの女将、裏社会の人間たちに襲われて殺されました」

泣き出す

 

賢子、茫然とし

(そんな・・・・)

 

佐伯、泣きながら

「腕っぷしの良い私らの仲間の鬼3人が、羅導岳の処に抗議に行ったきり行方不明」

「もう・・・喰い殺されたのだろう」

「うわ~~~」

カウンターを叩きながら、さらに号泣する

 

賢子、佐伯たちの不遇な立場に苦悩し

(わたしが、少ししっかりしていれば・・・)

何も出来ない自分を責めていた

賢子、様子をみて、心配そうになる皐月

(賢子先生・・・何も貴女のせいではないですよ)

 

佐伯、ぐずりながら

「こんな時に、雄次はんと磨修鬼はんがいれば・・・」

 

賢子、佐伯の「磨修鬼」の言葉に、

「実は、私たち、「祇園磨修鬼」を探しに、ここ大阪に来たの」

「もし、知ってることがあれば、教えて欲しいです」

 

佐伯、急に顔を下に向き

「実は・・・」

 賢子、耳を傾け

「どうしました?」

 

皐月、割って入り

「磨修鬼さん、2年前に、大阪の裏組織に呼ばれたきり、帰ってきてないの」

「しってたら教えて欲しいです」

必死に懇願するように、声を張り上げてしまった

 

賢子、佐伯、びっくりし

(皐月ちゃん!!)

悲しい笑みを浮かべ

(よほど、磨修鬼さんの事が・・・)

 

佐伯、少し落ち着き

「もう、あの人は・・・」

この続きを、聞こうとした時

 

ドアが急に、壊され

カウンターの3人が、その方向に振り向くと

ドアの戸口から、顔を覗かせていた

「“オーガ”見つけたよ」

「今から、“知花賢子”の事、聞くよ・・・・」

ドアの隙間から、入りきれない、巨体の鬼が現れた

 

そう、西洋から侵入してきたデーモンの1人

ドゴーリ・モローであった

 

 

つづく・・・・・