熊さとの戯言

自分の体験などを雑記帳・備忘録として

オーガ・バスターズ 第54話

第54話 恨みを越えて

 

グランドの外れの広場、周りに樹木が設置されている

そこに、義礼、不死川、真島が待機している
不死川、義礼に軽く突っかかっていた
「義礼さん、あの対戦はなんだったんですか」
「どう考えても、あんたが勝ってたはずでしょ」
真島、突っかかる不死川を止めるように
「先輩・・・・・」
義礼、ため息を着き
「実際、負けたのだから、仕方がないだろう」
「それに、あれほどの優秀な者を失うのは、鬼跋特務隊にとっては損失だ」
不死川、目を見開き
「まさか、あんた・・・・」
「わざと負けたのですか?」
義礼、目を瞑り、まるで悟ったような面持ちで
「どう思ってもかまわない」
「すくなくとも、俺はわざと負けた覚えはない」
不死川、真島、何か釈然としないまま
「・・・・・」
黙り込んでいる

そこへ、煉獄局長と“子孫組”局長4人が、義礼たちの元へ駆け寄り
「義礼、どういうことだ」
「なぜ、鯖江皐月に止めを刺さなかった」
義礼
「煉獄局長、何を心外の事をおっしゃいます」
「そういう“生殺与奪”の裁断を私に委ねたのは、貴方でしょう」
「裁断の結果、鯖江皐月は、鬼跋特務隊の戦力になるため、活かしたのです」
煉獄
「し、しかし・・・」
義礼
「優秀な人材を活かした事に、何が気に入らないのですか?」
鯖江皐月が、鬼だからですか?」
煉獄たちを一瞥し

「それとも・・・・」
「鬼舞辻無惨の細胞で、“鬼哭院御前”を誕生させた、知花賢子への」
「恨みに対する“当て付け”をしなかったから?」

煉獄、および局長4人が
「ぐっ!!」
図星を突かれ戸惑う
煉獄、感情をあらわに
「義礼、知花賢子の我々の祖先にした所業に何も思ってないのか」
義礼
「何も思ってないと言えば、嘘でしょう」
「だが、いつまでも恨んでも仕方がありません」
煉獄
「祖先の報いを台無しにしたのだぞ・・・」
義礼
「それでは、以前の鬼跋特務隊の解散の危機にさらされた時、我々子孫はどうしました」
煉獄
「そっそれは・・・」
義礼
「一部を除き、殆どの者が、指を咥えて見てただけでしょう」
煉獄、視線を下に向いたまま黙る
「・・・・」
義礼
「そんな中、知花賢子がその“贖罪感”から」
「母である鬼の始祖の1人、知花鬼刕華と袂を分かち」
「自らの命と財産を投げ打って、今の鬼跋特務隊を再建したでしょう」

「私には、煉獄局長たちのしていることは、恨みを晴らすより」
「“組織内政治”をしているようにしか思いません」
「1日でも早く、鬼の始祖を討たなくてはならないのに」
「そんな事、やっている場合ではないでしょう」

義礼、頭を下げ
「それでは、失礼いたします」

煉獄局長たちから、離れて行く義礼
戸惑いながら、義礼についていく不死川と真島

取り残された、煉獄たち
「・・・・・」
煉獄、義礼の意見が正当なのが理解しているが、どうしても恨みが拭い切れない
自分に嫌悪感を抱いていた

その後、鯖江皐月は正式に鬼跋特務隊の隊員となり
(陽壱たちの横槍は、冨岡義礼が不問にする事を、賢子、煉獄に要望し採択された)
警察庁内の東京支部で紹介され
東京の高層ビルにある本部、知花司令長官・チームのメンバーとなる


・・・・・


ある晴れた日
東京にある、高層ビル内、鬼跋特務隊本部、司令長官執務室

執務机の席に座っている賢子
執務机の前に、直立不動で立っている、煉獄局長
執務机の机上には、「退隊届」の封筒が置かれていた

賢子
「そうですか・・・・」
「確かに、“退隊届”受取りました」
賢子、席から立ち上がり、神妙な面持ちで
「煉獄局長をはじめ、諸々の鬼殺隊の関係者の祖先に対し」
「滅ぼした鬼の始祖を蘇らせたと言う、大罪犯してしまい」
「謝ってすむものではないですが・・・・」
「誠に申し訳ありません」
頭を深く下げた

煉獄、恐縮し、戸惑いながら
「知花司令長官、頭をお上げ下さい」
「貴女は、その“贖罪感”から、解散の危機にあった鬼跋特務隊を救ったのでしょ」
「しかも、自分の命と財産を投げ打って」
「我々、鬼殺隊の関係者の子孫だけでは、再建は出来ませんでした」
「例え、“鬼哭院御前”を誕生させなくても」
「もう1人の鬼の始祖、“知花鬼刕華”を討伐する羽目になっているでしょう」
「どちらにしろ、我々、鬼殺隊は、鬼から解放されないでしょう」
煉獄、神妙な面持ちで
「そう思考を巡らすと、知花司令長官を恨むことは見当違いと感じました」
「どうか、鬼哭院御前、知花鬼刕華を見事、討ち滅ぼして頂きたい!!」
「よろしくお願い致します」
頭を、深く頭を下げる

次は、賢子が恐縮し、少し笑み
「そこまで、私の事を赦して頂けるとは、とても嬉しいです」
「少しは、贖罪感を和らげる事が出来ました、ありがとうございます」
賢子、真剣な面持ちで
「そして、いくら再建できても、組織を維持するとなったら」
「煉獄局長をはじめとする、隊員たちの力が必要です」
「特に、煉獄局長は、所謂、“子孫組”と“新参組”との“しこり”を上手く取り纏めていたと」
「聞いています」

「確かに、煉獄京寿郎は本日を以て、退隊いたしましたが」
「新たに鬼跋特務隊・副司令官として、私、知花司令長官の腹心として」
「各支部局長及び副長並びに隊員たちの指揮者として」
「煉獄京寿郎を鬼跋特務隊にスカウトしたい」
再び、頭を下げ
「もし、よろしけれが、是非とも宜しくお願いいたします」

煉獄、困惑しながらも
「私みたいな老いぼれをですか」
賢子、にっこりと笑み
「優秀な方に年は関係ないです」
「それに、“新参組”も含め貴方を慕ってる人たちから、煉獄さんの行末を心配されていましたよ」
「慕っている人たちの為にも、ここで活躍してください」

煉獄、あっけに取られていたが、落ち着きを取り戻し
「私を慕ってくれてる・・・ですか」
「分かりました、再び入隊をよろしくお願い致します」
頭を下げる

賢子、満面の笑みで、手を差し伸べ
「ありがとうございます」
「これからも、よろしくお願い致します」

煉獄、賢子と握手し
「こちらこそ、微力ながらも、共に鬼の始祖たちを討ち滅ぼしてみせます」

鯖江皐月の鬼跋特務隊・入隊をきっかけに、知花賢子と“子孫組”とのわだかまり
“子孫組”と“新参組”とのしこりが表面化したが
知花賢子と煉獄京寿郎が和解する事により、鬼跋特務隊の連帯がより一層固くなった

のち、鬼殺隊の連綿から続く人脈と情報収集力、伝承される鬼を滅する技の数々に
驚かされることとなる・・・・・


つづく・・・・・