熊さとの戯言

自分の体験などを雑記帳・備忘録として

オーガ・バスターズ 第47話

第47話 静寂

 

しゃがみ込み、何時までも泣いている媧歌妃

媧歌妃を包み込むように抱きしめる、幻影の頼孝

「もう、泣き止んだかい?響歌」

こくりと頷く媧歌妃

頼孝、優しい声で

「あとは、どうするかは」

「お前が決めることだ・・・」

「どんな響歌であろうと、俺はずっとお前を見守る」

「絶対に見捨てはしないから」

媧歌妃

「・・・頼孝、嬉しいわ」

「ありがとう」

再び、立ち上がり陽壱たち鬼跋特務隊と対峙する

 

媧歌妃、何か腑に落ちた感じで一礼し

「少しの間、公演を中断して誠に申し訳ありません」

「終演まじかですが、最後までお付き合いください」

まるで、舞台の上で唄い、観客を労う仕草をする、歌手しての媧歌妃の姿があった

歌姫の矜持をもって、最期を迎えようとした

 

そして、歌を唄い始め、砂で多数の武器の造形を作り

隊員たちに、凄まじい攻撃を加えた

隊員たちは、その攻撃を避けたり、受けたりしながら

媧歌妃の間合いに近づこうとするが、媧歌妃の隙のない攻撃で

なかなか間合に入らない

その中でも、武市とあかねが、砂の武器を破壊しながら

陽壱に媧歌妃への道をつくり前進し、媧歌妃の間合に入った

陽壱が、燃え盛る太陽の閃光を纏った紅きナイフで喉を掻き斬ろうとした時

(選択を与える為に首を切断せずに)

媧歌妃、優しく微笑み

「やっと、あたしに近づく事が出来たのね」

「さぁ、あたしの頸を切断して、幕を下ろしてちょうだい」

陽壱、媧歌妃のその台詞を聞くと、寸での処でナイフを止めた

陽壱、意を決し

「美郷媧歌妃!!!」

「その前に、美郷鬼朗の遺言を聞いてくれ」

媧歌妃、あっけにとられ、歌をやめ、攻撃が収まった

「鬼朗の遺言ですって」

「どういう事なの?」

陽壱

「あの3兄妹、いつもあんたの事を想いながら戦ってたよ」

「美郷鬼郎が死ぬ間際」

「あんたと自分の妹たちを御前から解放してやって欲しいっと頼んで来たんだよ」

媧歌妃

「鬼朗が・・・」

「あの方からの解放ですって!」

「そんな事は可能なの?」

 

武市が、ポケットから、御前の細胞を消滅するワクチンの入った小さな箱を取り出し

それを媧歌妃に渡す、受け取る媧歌妃

箱を開けると、注射器が入っている

「これを接種したら、あの方から逃れられるの?」

 

武市

「そうだ、あとは本部で保護され、もうすぐ人に戻る薬剤が出来るから」

「すこし待てば、人に戻ることもできるだろう」

 

注射器をみながら、神妙な面持ちの媧歌妃

「もう少し早く知っていたら・・・」

「鬼郎、鬼美子、鬼美恵を人に戻すことが出来たのに」

苦笑し

ワクチンの入った箱を、武市に投げ返した

「鬼朗たちには悪いけど」

「あたしは、もう今更、人に戻る気はないわ」

「そろそろ!!幕を引きましょう」

そして、また歌を唄い出し、砂の触手を作り出し

陽壱の腕を掴み

「なっ!!」

すぐさま、陽壱の持ってるナイフで、自身の首を刎ねた

「なんだって!!!」

陽壱の腕に巻き付いた砂の触手が崩れ

媧歌妃の身体はうつ伏せに倒れ、その横に首が転がる

「これで終演・・・・」

「やっと、あの世で大事な人と会えるわ・・・」

やがて、肉体が崩壊し砂と化した

 

・・・・・

 

「さあ、一緒に行こう」 

媧歌妃こと、響歌の魂は、頼孝の魂と共に

「俺たちも付いて行きます」

鬼朗・鬼美子・鬼美恵の3兄妹の魂も連れ立って

あの世の底へと旅立った

 

・・・・・

 

本来なら、ここで勝どきを上げていたが

何故か気分の良いものでなく、周りは静寂としていた

隊員たち

「・・・・・」

陽壱

「これで良かったのだろうか・・・」

「まさか、自ら首を刎ねるなんて」

武市

「本人が選んで死んだのだ、仕方がないだろう」

あかね、その場の静寂な空気を壊すかの様に

「でも、あの美郷媧歌妃って鬼、この街で虐殺事件起こしてるんやで」

「その鬼に、いつまでも感傷しても仕方がないやん」

「全ては、鬼哭院御前と知花鬼刕華が根源なんやろ」

「鬼哭院御前と知花鬼刕華を滅ぼすことが」

「いままで倒してきた鬼の供養になると思うで・・・」

武市、陽壱目を丸くし

陽壱

「あかね、たまにすごい事言うんだな」

あかね、怪訝そうに

「それ、誉めてるん?貶してるん?」

陽壱、満面の笑みで

「いや、誉めてるんだよ」

「確かにそうだったなって」

「1日でも早く、鬼の始祖である鬼哭院御前と知花鬼刕華を滅ぼし」 

「鬼に殺された者とその親しい者、鬼にされた者の悲劇を止めなければならない」

「それが出来るのは、俺たち”鬼跋特務隊”ではないか」

「ここで落ち込まず、前進しよう~」

腕を思い切り上に挙げ、隊員たちを励ました

隊員たちに笑顔が戻り

「確かに、陽壱やあかねの言うとおりだな」

隊員の中には

「確か、親父がガキの頃、美郷響歌のファンで、受験の時に、あの人の歌を聞くと」

「勉強疲れが癒され、やる気が出るって言ってたな~」

「婚約者だった、最近の亡くなった、日本を代表する俳優の石川頼孝のファンに、顔に傷を付けられてから、行方が分からなくなったって言ったけど」

「まさか、鬼になっていたとはビックリだったよ」

「親父にその事言ったら、卒倒するだろうな~」

隊員たち

「はははは・・・」

周りの雰囲気が明るくなり

最後は

ある副長、武市に

「そう言えば、陽壱がやってた励ましのガッツポーズ」

「あれ、お前(武市)の十八番だろ」

武市、はっとした表情で

「確かに、わしの専売特権だわ~」

その副長、武市の背中を叩き

「それだけ、慕われてるんだよ、武市は」

武市、照れながら

「そっそうだろ~」

 

陽壱たち、鬼跋特務隊・隊員たちの士気が上がり、次の戦いへと

繋がるのでした

 

 

つづく・・・・・