第32話 束の間の平穏
鬼跋特務隊本部・指定病院 病室
ベッドで眠っている殺罪鬼=皐月
その横で看病している実那
「御前から解放されて」
「鬼の生活から抜け出せて」
「ホントに良かったです、皐月」
トントン、病室の扉が鳴り
「よろしいでしょうか?」
実那
「はい、どうぞ」
賢子
「皐月ちゃんの様子をどうかな?」
実那、席から直ぐに立ってしまい
「知花司令官!!」
「お疲れ様です」
つい、敬礼してしまう
賢子もつられて敬礼し
「碓氷実那隊員」
「ご苦労様です」
優しく微笑み
「そこまで、かしこまらなくても良いですよ」
実那
「でっでも・・・・」
賢子
「じゃ~実那ちゃんでいいかな?」
「私の事、賢子って呼んで欲しいな」
実那
「司令官は、お医者さんだし、賢子先生でどうですか?」
賢子
「ふふふ・・・」
「呼び慣れてるし、それでいいよ」
「よろしくね、実那ちゃん」
実那
「よろしくです!!」
「あたしも、賢子先生に”実那ちゃん”って呼ばれて嬉しいです~」
賢子
「そうなの、良かったわ~」
「今の処、皐月ちゃんに悪い症状は出てないね」
実那
「賢子先生って、皐月のこと」
「よく知ってるですね」
賢子
「よく、皐月ちゃんの悩み事とか相談してたからね」
実那
「そうなんですか~」
「どんな相談事だろうなぁ~」
賢子
「鬼も人も変わらないよ、普通の女の子の悩み事」
実那
「例えば、恋ばな?」
賢子、笑みを浮かべながら、ちょっと言いにくそうに
「それもあったね・・・」
実那
「?」
賢子の顔が少し曇ったのに疑問を感じた 実那
その事に、賢子に聞こうとした時
皐月に付いていた、フードを着ていた男の子4人が
それぞれ違う制服を着て、見舞いに来た
「見舞いに来ました」
「皐月さん、起き上がった?」
突然の訪問客で、実那は賢子に聞きたかった事が聞けなくなった
賢子
「実那ちゃん」
「そろそろ、失礼するね」
実那
「賢子先生、忙しい処見舞いに来てくれて」
「ありがとうです」
賢子
「いいのよ、私も皐月ちゃん心配だったからね」
「もし何かあったら、連絡してね」
実那
「は~いです」
元・フードの男の子が来てしまった以上、聞くに聞けなかった
・・・・・
支部の食堂
食事をしている、陽壱と武市
陽壱
「いや~」
「びっくりしたな」
「あのフードの4人組」
「鬼と思ったら、人だったもんな」
*フードの4人組、殺罪鬼が倒れて介抱している処を襲い掛かり
陽壱にあっさりやられた・・・
武市
「恐怖で支配されてると思ったら」
「いじめの報復をしてくれた恩で、殺罪鬼に付いてたなんてな」
陽壱
「なんやかんや、人と鬼が共存してるもんですね」
武市
「我々、鬼跋特務隊がいい例だな」
陽壱
「確かにそうですね」
「1ヶ月謹慎処分受けた実那も」
「タイミング良く幼馴染みの見舞い行けて良かったですね」
武市
「そうだな、本当にな~」
「そうだ、実那の謹慎期間中、大阪支部からの隊員が、わしらのチームに配属するらしい」
陽壱
「大阪からですか?」
「どんな人でしょうね~」
武市
「なんでも、重いハンマーを軽々持ち、雷の呼吸の持ち主で、地元では、”なにわのトール”って渾名が付いているみたいだ」
陽壱
「トール?」
武市
「ほれ、北欧神話に出てくる雷神の名前だよ」
陽壱
「あ~成る程ね」
・・・・・
大阪
夜の道頓堀、周りはバリケードが張られている
格闘家風の鬼が3体と
巨大ハンマー、忍者刀、ショットガンを持つ3人の女性鬼跋特務隊
20代中の160cm位の胸のでかい
いかにもヤンキーっぽい、ハンマーの隊員
「これでも、食らえや~」
地面を叩き付け、雷を鬼たちの周りに感電させ、動きを一時停める
忍者刀の隊員、水の呼吸で閃光の如く素早く、鬼の1体の頸を切断
もう1体を狙いを定め飛びかかったが鬼が飛んで逃げ外した
20代前半、150前半の幼児体系っぽい、忍者刀の隊員
「もう、逃げたらアカンやん」
その逃げた鬼を、まるで巨大な火のたまの炎を纏った弾で頭に命中
胴体がぼとりと、地面に叩き着いた
30代中の168cm位の出る所はちゃんと出てる体格のショットガンの隊員
「なんやかんや、連携とれるもんやね~」
最後の一体の鬼は素早く、倒れた鬼の肉体を吸収し
頭に3つの顔、腕が6本の阿修羅のような鬼に変身した
ハンマーの隊員
「なんか、ごっついのが出来たで」
忍者刀の隊員
「きしょいわ~」
ショットガンの隊員
「何が来るか分からへんから」
「慎重に行くで・・・・」
ハンマーの隊員と忍者刀の隊員がまっしぐらに
阿修羅の鬼に立ち向かう
ショットガンの隊員
「こら~!!」
「何勝手に動いとんねん!!」
「・・・・・」
「仕方ないな~」
「援護するか」
阿修羅の鬼、血鬼術の竜巻を使い、ハンマーと忍者刀の隊員を退ける
ハンマーの隊員
「なんか必殺技出たで」
忍者刀の隊員
「きしょいわりに、必殺技持ってたんや」
ショットガンの隊員
「だから、言ったやろ!!」
「慎重に行こって・・・」
と2人を突っ込んだ
2人、しけた顔をし
ハンマーの隊員
「そんなこと言ってたか?」
忍者刀の隊員
「ぜんぜん聞いてへんわ」
ショットガンの隊員、ぷるぷる振るえ、
ドスを効かせ 「お前らなぁ~」
その間にも、阿修羅の鬼の竜巻を撃って来る
ショットガンの隊員
「敵が迫ってんのに、文句言えんわ」
「今度は慎重に行くで」
2人
「おう!!」
すぐに臨戦態勢をとり、敵の攻撃のパターンを探りながら 攻防を続ける
大体のパターンが分かると
ショットガンの隊員
「最後の鬼の頸は、あかね、あんたが取りな!」
ハンマーの隊員=あかね
「よっしゃ~」
「あたいが、鬼の頸取ったるで」
忍者刀の隊員
「え~僕のは~」
ショットガンの隊員
「つばめは、先取ったやろ」
忍者刀の隊員=つばめ
「うっ、いけずやわ、秋菜(あきな)副長」
ショットガンの隊員=秋菜副長 、作戦の詳細をゴーグルの通信機能で伝え
阿修羅の鬼の周りを囲む
あかね
「それ~」
地面を叩き、電撃を鬼に感電 しようとしたが
鬼はジャンプをして、建物の壁を足場にして、あかね向かって蹴りを入れる
あかね避ける、着地した鬼を 秋菜、つばめが左右の腕を
ブースト機能を使って、破壊・切断
阿修羅の鬼、両腕を生やそうとしたが出来ず、逃げ出そうとした
秋菜副長
「おっと、逃がさへんで」
炎の閃光を纏った弾を2発撃つ 鬼の足を破壊し、鬼をうつ伏せに転がす
同時に、ジャンプしながら電撃の走ったハンマーを振り上げ
あかね
「鬼の頸・・・」
ハンマーを思い切り振り下ろし
「討ちとったり~」
鬼の頭を潰し、あかねガッツボーズを決める
崩れていく、阿修羅の鬼
周りの建造物が壊れている道頓堀界隈
秋菜副長
「あ~あ、大分いってもうたな」
「後は警察に任せて、私らは退散といきますか」
つばめ
「最後は、僕が決めたかったわ~」
あかね、ゴーグルを頭に上げ
「いえ~い」
ピースして最後を締めくくる
つづく・・・・・